ショートエッセイ いきもの語り

年老いた猫が寝たきりになり、見送りました。3年間このブログを開くことを躊躇っていましたが、コロナ禍で感じ続ける生きていることの奇跡と感謝をあらためて綴ってみようと思います。

2021-01-01から1年間の記事一覧

冬のココココ

夏はうっそうとした木々しか見えない近所の洋館の庭が、 冬場は恰好の野鳥観測ポイントになっています。 でも去年ほどあまりいろいろ見かけないなと思っていたら、野鳥に詳しい人が、 「今年は遅いみたいですよ」 と、渡りが遅れていることを教えてくれまし…

越冬するモノ 春待つ気分

2か月ぶりに近所(23区内)の「森」に行きました。 足元は枯葉ばかりになっていて、見上げれば夏よりずっと鳥の姿が目につきます。 これまであまり気にならなかったワカケホンセイインコが複数いたので、 「ワカケってこんなにいましたっけ?」 と鳥に詳しい…

われなべにとじぶた

折れ曲がって道にはみ出たダリアの花を ヒビの入った湯飲みに活けてみました。 ダリアは、数年前、近所の、野菜や米も扱っているあまり主義主張のない地味な花屋の店頭に、満開の状態で苗が売られていたので買ってきたもの。 湯飲みは、30年ほど前、駅前の食…

和ばら、とともに

バラの花束が到来して3日。 つぼみだった数本が、想像もできなかった姿に変わってきました。 生き物は、変化が、楽しい。 そのバラを作っているご本人に、 あなたのバラは強いそうですね。 切り花にしても何日も持つと評判を聞いていますが。 と声をかけると…

らしくないバラ

要冷蔵で届きましたよ。暑い日の午後3時に。つぼみがもっと開いたら、違う顔を見せてくれるのでしょうね。暑い暑いとうだっていたのに、この花の到来で一気に元気になりました。これ実は、全部バラ。バラらしくないバラを作っている農園から取り寄せました…

ミンミンの恋?

今年の夏は、セミとのご縁あり。 でも、もうそれも終わります。 8月最後に出会ったのは、こんなセミたちでした。 最初は2匹いるとは知らず、飛べばいいものをなにを歩いているのだと、太っちょのミンミン君を見ていたのですが、 そういうことだったのか〜と…

外来の蝶

影絵のように美しい蝶が突然目の前に現れました。 このアカボシゴマダラ、 関東では1990年代より前は見られなかったのだとか。 外来種と知るといきなりありがたみを感じなくなるのはどうしたことでしょう。 在来種を駆逐しているわけでなければ、素直に受け…

飛び立つ覚悟

部屋で羽化したセミが羽のバランスがよくない、飛べないセミだったので、 どこかの木に帰そうと、セミを連れて歩き回りました。 これは?という木に放っても、どうもあまり乗り気ではないようです。 近所を一周して戻ると、すぐ近くにやたら抜け殻が多くつい…

セミの羽化 はじめてのこと

今年は蝶ではなく、蝉。 3日前、夕方ちょっとした出会いがあったので、両手を交互に上らせながら連れ帰ってみました。 羽化したては「緑色でとても美しい」と聞いていたので、見てみたくて。 夕飯後にじっくり観察と思ったら、 羽化は、びっくりするぐらい…

モンシロチョウの背中は青い

今年4度若芽を天ぷらでいただいたご近所のフキの群れ。 ああ、もう花が咲いちゃったな〜あの味は終わりだな〜とその一群を見ていたら、デジカメを向けている人がいる。 さほど珍しくもない光景なのに何をやっているんだろうと見ていると、 その人は私の視線…

都会にフクロウ

コロナ禍の一年。 圧倒的に自宅に居ることが多くなったことと引き換えに ご近所発見の機会も増えました。 その中で最大の発見が、この大きくて立派な鳥がすぐ近くにいたということです。 そもそも自分の住む街にこの鳥が来るような保護林があることなど知ら…

世界は美しく仕組まれている

友達と会うこともままならない毎日、 新しい刺激がないかと思いきや、 すぐ近くに、楽しいこと、どきどきすることが山のようにあるようです。 公園のベンチに座っていると 一羽のツグミがこちらを気にして近づいたり離れたり。 単眼鏡で見てみると、見事に組…

冬の海辺

ちょっと好きな失恋ソングがあります。 あなたと一緒に来なくても もともと私はこの海が好きなの そんな意味の歌。 その歌が頭に浮かぶのは、鎌倉の材木座海岸を歩く時です。 特に、冬。 失恋などしなくてももともと冬の海が好きなんで。 かつては長靴に履き…

樹木の神秘

空を見上げるのは自由です。緊急事態でも。数日前の強風もあり、頭上に折れた枝がないか、落ちて来る危険がないか確認しようと今日は上を見ながら歩きました。日に当たり細い枝がキラキラ輝く空向きの景色だけを見ていたら、「ここはヨーロッパだよと言われ…

クロアゲハにありがとう

生まれて、ちょうど2週間。 静かな朝の光の中で、 蝶が逝ってしまいそうです。 箱の中で行方を失っていました。生きるという行方を。 大好きな餌に目をくれず 飛ぶこともせず 何かに抗っていました。 足を畳んだまま翅を動かしていたけれど その翅の動きも…