ショートエッセイ いきもの語り

年老いた猫が寝たきりになり、見送りました。3年間このブログを開くことを躊躇っていましたが、コロナ禍で感じ続ける生きていることの奇跡と感謝をあらためて綴ってみようと思います。

植物日記

雨上がりはキノコの日

今日はキノコの日。 と言っても食べるわけじゃなくて。 雨あがりの森ではおもしろいキノコに出会えるはずと思っていたけど、 こんなおかしなものが土の上でコロコロしているとはドッキリ。 「フクロタケ」って小学校で習ったような気もするが、 エリマキツチ…

ネジバナは幸せの花

ネジバナを見つける幸せというものがあるようで、 ネジバナが咲いているよ、みんなに教えてあげなきゃ、 なんて会話が先月繰り広げられていました。 ほら、砂糖菓子とかガラス細工みたいでしょ、 とクローズアップで撮った写真を見せてくれました。 私も、と…

木の花が少し早くて

桜も早いけど 木の花がみんな早く開いて。 風が実を結ぶ手伝いをしてくれるといいのだけど、 虫にはまだ少し早い。 そんなことがちょっと気がかりです。 アカシデの花も早いらしい。 いつもなら一緒に開く葉の陰に隠れていたのかな。剥き出しの花が目につき…

主人を待つ薔薇

私たちが手入れをしている住宅街の小さな森の中でも なかなか足を踏み入れない急斜面があります。 冬の中にこっそり隠れている生き物を探しに急斜面を上ると、周囲の景色に似合わないピンク色の薔薇がたった一輪咲いていました。 聞けば、一輪だけが細く伸び…

ダリアの顔

数年前の母の日に、ほんの数百円で買ったダリアの苗がたくさん花をつけています。 母が大切に育ててくれているからでしょう。 小さな路地沿いにこれでもかと咲き誇っているので、 数本を切って部屋に飾ることにしました。 どれを部屋に連れていこうかとじっ…

一年草の愛

一年草と聞いていました。 昨年、友人との待ち合わせの時間つぶしにぶらりと入った植木屋で衝動買いしたオジギソウです。 ほんとうに一年でさよならなのかと、冬枯れしても、春になって芽が出なくても、鉢を植え替えることなく放置して見ていました。 景色が…

われなべにとじぶた

折れ曲がって道にはみ出たダリアの花を ヒビの入った湯飲みに活けてみました。 ダリアは、数年前、近所の、野菜や米も扱っているあまり主義主張のない地味な花屋の店頭に、満開の状態で苗が売られていたので買ってきたもの。 湯飲みは、30年ほど前、駅前の食…

和ばら、とともに

バラの花束が到来して3日。 つぼみだった数本が、想像もできなかった姿に変わってきました。 生き物は、変化が、楽しい。 そのバラを作っているご本人に、 あなたのバラは強いそうですね。 切り花にしても何日も持つと評判を聞いていますが。 と声をかけると…

らしくないバラ

要冷蔵で届きましたよ。暑い日の午後3時に。つぼみがもっと開いたら、違う顔を見せてくれるのでしょうね。暑い暑いとうだっていたのに、この花の到来で一気に元気になりました。これ実は、全部バラ。バラらしくないバラを作っている農園から取り寄せました…

樹木の神秘

空を見上げるのは自由です。緊急事態でも。数日前の強風もあり、頭上に折れた枝がないか、落ちて来る危険がないか確認しようと今日は上を見ながら歩きました。日に当たり細い枝がキラキラ輝く空向きの景色だけを見ていたら、「ここはヨーロッパだよと言われ…

根を張る

ふかふかの土に、ドングリが根を伸ばしていました。 ドングリは深く根を張った後に、芽になり幹になっていく部分を作っているようです。 その姿を見て 自分の体を支えられると自信を持ってから 地上から上の部分を作っていくんだね、 と、皆で話していました…

キノコは郵便屋

誰かに願いを届けたい時は、 大木の幹に触れて思いをその木に伝えるといい、と聞いたことがあります。 その木の根に隣の木の根が触れて、 地球上ではそうやって、誰かの近くの木まで思いが届けられるというのです。 同じような話がキノコにもあることを最近…