ショートエッセイ いきもの語り

年老いた猫が寝たきりになり、見送りました。3年間このブログを開くことを躊躇っていましたが、コロナ禍で感じ続ける生きていることの奇跡と感謝をあらためて綴ってみようと思います。

2020-01-01から1年間の記事一覧

冬に羽化

え?いま? と、思わせられ続き。 11月中旬、レモンの葉先で頭を左右にゆらゆら振っている暢気な幼虫を見つけた。 え?今?もうすぐ冬だよ! ということで、緊急確保。 無事サナギになったので安心して越冬態勢に。 と思ったら、12月下旬のある日、黒っぽく…

根を張る

ふかふかの土に、ドングリが根を伸ばしていました。 ドングリは深く根を張った後に、芽になり幹になっていく部分を作っているようです。 その姿を見て 自分の体を支えられると自信を持ってから 地上から上の部分を作っていくんだね、 と、皆で話していました…

誰かが見ている

フリーランスで自宅で仕事をすることが多い中でのコロナ禍。 自分で作った家族もなけりゃ、同僚もいない。 このまま人に必要とされないまま生涯を終えるのかな、とマジに思う。(ことが時々ある、) 今年は部屋に蝶のサナギがいる日が多くなった。 今いるの…

キノコは郵便屋

誰かに願いを届けたい時は、 大木の幹に触れて思いをその木に伝えるといい、と聞いたことがあります。 その木の根に隣の木の根が触れて、 地球上ではそうやって、誰かの近くの木まで思いが届けられるというのです。 同じような話がキノコにもあることを最近…

私の居場所

久しぶりにジョギングをしてきました。 家の近所にある小川は、昭和50年代にはコンクリートで護岸された薄暗い生活排水のための川でしたが 今は、たくさんの植物や野鳥や魚が集う、地域で大切にされている場所に生まれ変わっています。通るだけで楽しいジョ…

アゲハの少年

長い梅雨の間、 名の知らない小さな虫たちが葉っぱの裏にいろいろな仕掛けをして生き延びようとしたようで、 おかげで、梅雨生まれ梅雨育ちのアゲハは サナギになるのが精一杯。 羽をつけることができませんでした。 ある日、梅雨生まれさんのエサにと切り取…

すずめのお宿

お宿がそこにあると気づいてしまいました。 覗いてごめんと思いつつ、あちらもこちらを眺めていたのでアイコでしょう。 野生に生きる動物は、目が合うと心臓に大きく負担がかかるほど緊張するのだと言います。 それでも鳥たちは目を合わせながら2mくらいまで…

命の重さ

あまりに美しい蝶に出会い、一目惚れ。 淡いブルー、染色の言葉を借りれば「かめのぞき」に近いかもしれない、限りなく透明に近いが豊かな青色の羽。そこに、鮮やかな赤の差し色。 通勤時間の歩道の真ん中に、優雅に羽を広げていた。 自転車や人の足に潰され…

自己紹介

さくらという名前の猫を亡くして、丸3年が経ちました。 半身不随の猫が快方に向かうことを信じていたので(その前に逝ってしまった老猫が脚の麻痺から全快したこともありましたし)、彼女を亡くした瞬間からこのブログを開くことができませんでした。 以来…