ショートエッセイ いきもの語り

年老いた猫が寝たきりになり、見送りました。3年間このブログを開くことを躊躇っていましたが、コロナ禍で感じ続ける生きていることの奇跡と感謝をあらためて綴ってみようと思います。

2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

一緒に

お年寄りのご夫妻が手を繋いで 黙って電車が来るのを待っていました。 ずっと以前ひとり旅をしていた時、奈良県のある駅で、向かいのホームに見かけた光景です。 当時はそんな様子が珍しく、微笑ましく心に残っています。(今ではたまにいらっしゃいますよね…

晩秋こそ

木の葉が光を透す季節。 舞い落ちた枯葉を一枚一枚かき分けて頭を出すキノコ。 剥き出しになった枝の間から鳴き声を届けてくれる小鳥たち。 都会にぽつんと残された雑木林では、秋そしてどんどん深まっていく冬こそ、地上に生きているモノがたくさんあるのだ…

主人を待つ薔薇

私たちが手入れをしている住宅街の小さな森の中でも なかなか足を踏み入れない急斜面があります。 冬の中にこっそり隠れている生き物を探しに急斜面を上ると、周囲の景色に似合わないピンク色の薔薇がたった一輪咲いていました。 聞けば、一輪だけが細く伸び…