ショートエッセイ いきもの語り

年老いた猫が寝たきりになり、見送りました。3年間このブログを開くことを躊躇っていましたが、コロナ禍で感じ続ける生きていることの奇跡と感謝をあらためて綴ってみようと思います。

ネジバナは幸せの花

ネジバナを見つける幸せというものがあるようで、
ネジバナが咲いているよ、みんなに教えてあげなきゃ、
なんて会話が先月繰り広げられていました。
 
ほら、砂糖菓子とかガラス細工みたいでしょ、
 とクローズアップで撮った写真を見せてくれました。
私も、と、カメラを出したものの、そういう日に限ってクローズアップレンズを置き忘れているものです。
 
昨日ようやく探しあてたネジバナはちょっと時期が遅く、少ししおれているようですが、なんとかその姿を自分の手元に残すことができました。
 
小さな小さな花で、ねじれている姿がもてはやされるものですが、実はランの一種なので、菌根菌がなければ成長できない。
落葉や落枝、倒木にまつわる菌がないと花が咲かないのだそうです。
花は、その花だけで咲くことができない。そんなことを教えてくれる花です。
 
個人的には「ほら、ここにネジバナがあるよ」と、この花の存在を教えてくれたあるミュージシャンとの思い出もあり、ネジバナを見つけると、その後ろにあるいろいろなことがボワっと思い浮かびます。
 
砂糖菓子、ガラス細工…そして、ラン科の花。
今年覚えたちょっとした知識はこの花の風景をさらに大きく広げてくれました。
来年また出会うのが、楽しみです。

ネジバナ Lady's tresses