ショートエッセイ いきもの語り

年老いた猫が寝たきりになり、見送りました。3年間このブログを開くことを躊躇っていましたが、コロナ禍で感じ続ける生きていることの奇跡と感謝をあらためて綴ってみようと思います。

オニヤンマ 羽化しました

トンボの羽化って難しいんですよ。
と、美容師さん(私の担当ではない人)が、髪を切ってもらっている私に声をかけてきた。
その人にとって私は(私にとってその人も)「羽化友達」なので、会話といえば蝶やセミの羽化の話になる。
 
トンボの羽化は、水からあがったヤゴを観察するか、ヤゴを水で育てながら観察するか。
 家で羽化を見るのは、相当難しいらしい。
なるほど、次はトンボに挑戦か?
と思いながら、ヤゴを育てる自信もないので、あえてトンボについては自分事にしないようにしていた。
 
一昨日は雨予報だったので、レインスーツに長靴と、いつでも降っておいでなさい、と全身で表現していたのに、降りやしない。
せっかくなのでと、小川の中にじゃぶじゃぶ入って、普段目にすることのない角度から森を見ていた。
すると。
ん?んんん?
なんだあれは?トンボ?いや、巨大すぎる!おもちゃか?
小川の中に、長さ15cmほどのあまりに大きなトンボを発見!
近づいても逃げようとしない。
こんなところに誰が作りものを!と思ったら腹をぴくぴく動かした。生きてる!
 
よく見ると、ははぁ。ヤゴの抜け殻が体の下にあるではないですか!
羽化したてのオニヤンマ。
蝶やセミの羽化の観察をしてきたので、
この格好は、生まれたてで羽を乾かしている状態だと理解する。
もうあと数時間早くここに来ていれば、天然の羽化を見られたかもしれない!
と、欲張る私は次回の森林観察も長靴作戦をと練り始めた。
 
まあ、入れる時間が限られている保護林なので、なかなか難しいんだけど、それでもね。
普段見ない角度からの風景には、普段見られない生き物の活動が潜んでいて。愉快、愉快。
最近いろいろ行き詰まることが多くて、毎日「方違え、方違え」と、視線を変えていたことが、こんなところで楽しみを与えてくれた。のかな。方違え、もう少し続けてみることにしますかね。

オニヤンマ 羽化したて