ショートエッセイ いきもの語り

年老いた猫が寝たきりになり、見送りました。3年間このブログを開くことを躊躇っていましたが、コロナ禍で感じ続ける生きていることの奇跡と感謝をあらためて綴ってみようと思います。

冬の海辺

ちょっと好きな失恋ソングがあります。

 

あなたと一緒に来なくても

もともと私はこの海が好きなの

 

そんな意味の歌。

その歌が頭に浮かぶのは、鎌倉の材木座海岸を歩く時です。

特に、冬。

失恋などしなくてももともと冬の海が好きなんで。

かつては長靴に履き替えて波打ち際を歩きました。

20年近く前、鎌倉に住んでいた時の話です。

静電気が起こるのでしょうか、長靴の中がピリピリして長時間は歩けないのですが、

懲りずに長靴を持って出かけたものです。

 

今、緊急事態宣言中ですが、

どうしても材木座に行きたくて、昼の空いている時間に電車に乗って行ってしまいました。

失恋したわけではありません。

毎日パソコンに向かっているだけでは息が詰まるので、わーって気持ちを解放したくて。

もしかしたらこの詰まった感じは失恋に似ているのかもしれません。

 

で、今回、どうしてこの海が好きなのかが少しわかりました。

こんなにたくさん光の種類があるんですね。

ただ水平線に向かっているだけで、空にも海にも、波にも砂浜にも。

違う光が一度に目に飛び込んできます。

 

そうして20分間砂浜を歩いて帰って来ました。お店などには立ち寄らずに。誰とも話さずに。

感染症が落ち着いたら、昔みたいに海辺のカフェに入って、夕陽が落ちるのをビールを飲みながら眺めたい。

その時を楽しみにして、いましばらくおとなしくお籠り生活に耐えることにする…と思います。

おとなしく…たぶん。

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冬の材木座海岸にて