ショートエッセイ いきもの語り

年老いた猫が寝たきりになり、見送りました。3年間このブログを開くことを躊躇っていましたが、コロナ禍で感じ続ける生きていることの奇跡と感謝をあらためて綴ってみようと思います。

モンシロチョウの背中は青い

今年4度若芽を天ぷらでいただいたご近所のフキの群れ。
ああ、もう花が咲いちゃったな〜あの味は終わりだな〜とその一群を見ていたら、デジカメを向けている人がいる。
さほど珍しくもない光景なのに何をやっているんだろうと見ていると、
その人は私の視線に気づいて、
 
モンシロチョウ
 
と、にっこり笑って教えてくれました。
あら、ほんと、白い花の先にモンシロチョウがとまっている。
 
フキの花とモンシロチョウ、春の風景ですね〜
 
とその人は言う。
そうか〜春の風景をこの人はつかまえていたのか〜。
モンシロチョウはとてもよく見かける蝶だけれど、飛ぶ速度は半端じゃない。一気に体の何倍ものスピードで移動するので、目で追うのもままならない。
同じ花にじっととまっている姿は珍しい。
 
そして、こんなことに気づきました。
モンシロチョウの背中。
こんなに綺麗な青色をしていたとは。
 
食べられない花、としかそこを見ていなかった私。
春の景色を見つけていた人。
自分の目線だけでは気づけなかったモンシロチョウの青。
やっぱり自分ひとりの目だけでは世界はあまり豊かにならないようです。
たくさんの目線を受け取って、たくさんの見方を届けられる。そんな楽しい存在になりたいものです。
 

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