ショートエッセイ いきもの語り

年老いた猫が寝たきりになり、見送りました。3年間このブログを開くことを躊躇っていましたが、コロナ禍で感じ続ける生きていることの奇跡と感謝をあらためて綴ってみようと思います。

ぷっくりヒヨドリ

先に居たのは、私の方です。
3m後ろの枝にとまったのは、あなたの選択です。
 
左後ろに気配がするので振り返ると、ヒヨドリがぷっくり膨らんでぼ〜っとしていました。
カメラを向けても気づかないのか、ぼんやりしているので、思う存分観察させていただきました。
でも、
あれ?見られてた?
といそいそし始めたので申し訳なく、背中を向けて
見てないよ〜
の合図を送りました。
見てたんですけどね。
 
野の生き物は、目を合わせるのが苦痛なのだそうです。
食べられちゃう〜って思うとか。
心臓がきゅ〜っと縮んでしまうこともあるとか。
食べませんよ、食べません。
食べないし、襲うこともないですよ。
って書いた腕章をつけておきたい。
 
と言いつつ、
さあどうぞ、いつでも撮ってください、という生き物には
あまり惹かれないかもしれません。
お互いの鼓動がちょっと早くなる、その程度のかけひきが
楽しいということなのかもしれません。
何の罪もない者の心臓を縮めてしまうのは本意ではありませんが、先に居たのはこちらなので、あちらにしてもいささかのスリルは承知の上だったのではと思うのですが。

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寒いヒヨドリ