イベントを運営する知人たちが、イベントの現場で最も大事にしていると言っていることのひとつに、「入り口と出口」があります。
つまり、食事と排泄です。
食事と排泄は、どんな生き物にとっても命を継続させる基本です。
動物を飼う場合にもやはりそこは最も大切なポイントだと思います。
さくらが生まれて二か月で我が家に来た時、
それまで使っていたトイレの砂を少し分けてもらったからか、トイレの場所はすぐ認識できたようでした。
しかし、観察していたら
体を緊張させてはいるものの、排泄がうまくできず、砂の上で鳴きはじめました。
お尻をこちらに向けた状態で、体を捻って助けを求めています。
その時、
小学生の頃、教科書で読んだある一節が頭に浮かびました。
確か、上野動物園でトラの子が生まれた時、
赤ちゃんトラは母親にお尻を舐めてもらって排泄をするので、
飼育員さんが脱脂綿に水を浸して赤ちゃんトラの排泄を手伝った、というくだり。
それを真似、ティッシュに水を含ませて、さくらのお尻に当ててあげると、ホッと息をはいて上手く排便ができました。
さくらが心を開いたのは、その瞬間だったように思います。
年をとり、半身が麻痺して立ち上がれなくなったさくらは、オムツをはじめたのですが、
大便ができなくなりました。
キドナという流動食が腸内で固まりやすいとは動物病院でも聞いていましたが、
それ以外にも、体を立てられなくなったので排便に力を込めることができないのかもしれません。
お腹に排泄物が溜まると気持ち悪くなるようなので、動物病院の先生にかき出してもらいました。
数日ごとに通院しなくてはいけなくなったので、先生から
やってみますか?
と、ラテックスの手袋とアネトカインゼリーという外用薬をお試しセットとしてもらって帰りました。
肛門に指を突っ込んで、コロコロ固まった便を腸内からかき出します。
最初は勇気がなく、上手くいきませんでしたが、3度目くらいにはなんとかできるようになりました。
そんな介護の日々でした。
老猫と一緒に暮らすみなさんが、同じような状況に必ずなるとは思いませんが、
そうなっても勇気を出して介護に挑み、最期まで一緒に暮らしてあげてください。
猫とともに命に挑む日々は、かけがえのない時間でした。私には。