ショートエッセイ いきもの語り

年老いた猫が寝たきりになり、見送りました。3年間このブログを開くことを躊躇っていましたが、コロナ禍で感じ続ける生きていることの奇跡と感謝をあらためて綴ってみようと思います。

土のなか

雨が降ると「どうでもいいこと」が気になります。
サワガニは今頃のびのびと、人気のない「森」を闊歩しているだろうか。
この雨が止んだら、トカゲは身を潜めていた場所から這い出して、また日向ぼっこをするだろうか。
そんな姿を見たいものだ。と。
 
 そう思うのは、そんな姿を見られることが珍しいからで。
かつては近所を歩けば出会えた光景のはずなのに。
 
ヒトのために覆ってしまった土では、
サワガニもトカゲも這い出すことも隠れることもできません。
雨水が地下に染み込むように、舗装素材も変わってきているんですよと話してくれる人もいますが、
出るに出られなくなった生き物も、少なからずいることでしょう。
 
まあ、あまり深く考えても仕方のないこと。
だから、次に森に行ける日は、
雨の後だろうか、晴れが続いた日だろうかと、
楽しみという方向に、思いを転回することにします。

サワガニ