ショートエッセイ いきもの語り

年老いた猫が寝たきりになり、見送りました。3年間このブログを開くことを躊躇っていましたが、コロナ禍で感じ続ける生きていることの奇跡と感謝をあらためて綴ってみようと思います。

旅するキノコ

傘を持つ、私たちがキノコだと思っているものは、子孫をのこすためにつくった形。
このコキララタケは、その子孫を残す形はほんの数日で消えていってしまうのだとか。
私がすぐ近くにいたほんの数時間の間にも、胞子を飛ばしていたかと思えばすぐにその力を失って、少しずつくったりしてくるのが見てとれました。
 
土や倒木の中で菌糸を増やして生きているはずのキノコ、
 どうして胞子を飛ばすのでしょう。
ここではないどこかに新たな生きる場所をさがしているのでしょうか。
 
実際に、キノコだけでなくシダ類も、雨が降って土に湿り気がなければ胞子を飛ばさないそうです。
「すべって土に掴まれないと胞子を飛ばす意味がないからね」と専門家。
コンクリートに固められたところでは、生きづらいでしょうね。
 
胞子が飛んでいく様を見ていたら
キノコにも夢や希望、理想があって
旅をしながら、ああ、ここが自分に合っているみたいだと感じたらそこに「根」をおろして、次の自分をつくっていく。そう考えているように思えます。

コキララタケ