ショートエッセイ いきもの語り

年老いた猫が寝たきりになり、見送りました。3年間このブログを開くことを躊躇っていましたが、コロナ禍で感じ続ける生きていることの奇跡と感謝をあらためて綴ってみようと思います。

ど根性バタフライ

葉が落ちると、隠れていたモノが見えてくるので、住宅街にある100×300mほどの小さな「森」で宝探しが始まります。
と言っても、宝はなかなか現れず、
去年はメジロやカラスの古巣、カマキリのたまごぐらい。
でも、月4回しか入れない場所なので、毎回なんとか人間以外の生き物によるものづくりの痕跡をと目を皿のようにしています。
 
 数日前、今日も収穫なしか〜と帰路につくと、
アスファルト端のど根性植物の小さな群れに、この時期に珍しくアゲハチョウがいることに気づきました。
しかも生まれたてのアゲハです。
車や自転車やら人がビュンビュン通る場所なので
え?こんなところで??と思いましたがサナギだった薄皮にしがみついているので間違いありません。
 
美しい蝶ですが、特定外来生物とやらに指定されているアカボシゴマダラ。
詳しいことは知りませんが、在来種を駆逐する可能性があると危険視されているそうです。それだけ繁殖力が強いのでしょうか。
こんな場所で危険を顧みず、
しかもこんな時期に羽化するのですから、
ど根性バタフライと名付けたくなります。
 
翌日にはすでに姿がなく、
成虫では越冬しないらしいので、冷たい今日の雨の中どこかで震えているに違いありません。
せっかく無事に生まれてきたのですから、少しでも楽しいことがあればいいのだけどと思います。
生まれたてに気づいて近づいて、怯えさせてしまって申し訳ないと思いつつ。

アカボシゴマダラ誕生