ショートエッセイ いきもの語り

年老いた猫が寝たきりになり、見送りました。3年間このブログを開くことを躊躇っていましたが、コロナ禍で感じ続ける生きていることの奇跡と感謝をあらためて綴ってみようと思います。

キンランとガビチョウ

レッドリストに載っているキンランは、
他の樹木と菌類を共有しないと生きていけない花なのだそうです。
そんな話を聞いてから、根や菌で会話をする植物の世界が俄然豊かに思えるようになりました。
盗掘も多いので、この花をどこで見かけたかを、語ることができません。こんなに気高く咲く花を、多くの人と愛でることができないほど、ヒトは欲深いものだというのが残念です。
 
その近くで一昨日、珍しい鳥を見かけました。
全身が黄土色で、クチバシが尖った鳥です。たまたま小高い場所にいるのを見かけて、目が合った瞬間だけお互い動きを止めましたが、すぐに飛んでいってしまいました。
何という鳥だか図鑑を見てもわからないので、
「鳥先生」に聞いてみました。鳥先生は、
ヒヨドリぐらいの大きさでしたか?
今日いましたか?
と聞くので、
はい
と答えると、
ああ、今日いたならガビチョウですね。鳴いていましたから。とおっしゃいます。
そうしたら、周囲にいた人たちが
な〜んだ、ガビチョウか〜〜〜
要注意鳥ですよ
と、ガッカリといった反応になりました。
どうも外来の鳥で、在来の鳥を駆逐してしまうのだそうです。
面白い声で鳴くので、飼いたがる人もいるらしいですが、
まあ、あんまり増えてほしくない鳥ではありますね。
と鳥先生。
確かに。綺麗な声で鳴く鳥がいるな〜と、声のする方に歩いて行ったらいたので
と言ったら、
間違いないですね、と。
ガビチョウか〜ガビチョウか〜と、あんまりみなさんが言うので、ガビチョウという名のその鳥の存在が可哀想になりました。
 
国境を超えて、そこに生きているモノの暮らしを奪う者はどうも嫌われるようです。
他人のモノを奪わないと生きていけないのか、欲が深くて奪うのか。
草も鳥も、できる限りそこにあるものの命を奪わないでいられると、地球は賑やかで楽しいのにね。

菌根菌で生きる花