ショートエッセイ いきもの語り

年老いた猫が寝たきりになり、見送りました。3年間このブログを開くことを躊躇っていましたが、コロナ禍で感じ続ける生きていることの奇跡と感謝をあらためて綴ってみようと思います。

介護と、水と、食べ物と

寝たきりになってからは、当然ですが、自分で水や食べ物のある場所にたどり着くことができません。

発病から数日入院をして、お医者さんに状態をみていただいていたのですが、食事は朝はカロリー補給のための「キドナ」をシリンジ(注射器の針のないものですね)で。

夜は缶詰かパウチを自力で摂取できるようにと与えていたけれど、

「ウェットフードは上澄みを舐めるだけみたいで困りました」と言われて帰宅しました。

確かに、ウェットフードは上澄みを舐めるだけで終わってしまう。

どうも、歯(顎)の噛み合わせが悪く、噛む、ということをしたくない様子なので、

ミルを買って、どろどろにしてみることにしました。

液体に近い状態にして太めのシリンジであげようとしたのですが、自分で舐めたいそぶりをしたので、小さめの器に入れて口の近くに持って行ってみました。すると、喜んで食べるようになりました。

とりあえず、給餌はこれでなんとか、と思っているのですが、1日100キロカロリー+α程度で大丈夫なものか、しばらく様子をみてみることにします。

ちなみに、キドナは、便が硬くなってしまうもののようで、排泄ができないため、5日間隔で病院で便を取ってもらっています。なんとか自分で排便できるようになってほしいので、オリゴ糖や人間のヨーグルトを試してみましたが、効き目はありませんでした。なので、ペット用の乳酸菌を取り寄せました。効果があればいいのですが。

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水も、なかなか問題です。

老いているので、元気な時から多飲多尿でした。調べてみると、さくらの現在の状態、3kg17歳では、160ccから180cc、1日に摂取する必要がありそうです。

やはりシリンジで水を飲ませることにしましたが、10ccのシリンジで15回以上飲ませるには猫にも飼い主側にも多少無理があります。

お医者さんが、「ラクテック注」という点滴液を処方してくださり、「これを毎日120ccと、あとは口から飲む分で水分補給を」とおっしゃいました。が、

120ccというのは60ccのシリンジ2本分。つまり、点滴中に1度シリンジへの再注入の時間が必要で、その間猫がじっとしていてくれないので、1回60ccと、あとはがんばって100ccを口から…にしていました。最初は。

しかし、病院に行くたびに、水分が足りないと言われ、さらに1日200ccにしたほうがいいのではないかと言われたため、動く猫をなんとかおさえこんで点滴量を増やしています。

嫌がるコをおさえつけるのは、心が苦しいものです。が、そうせねばならぬと自分に言い聞かせています。

ちなみに、点滴で使用する針は、一度使用したら廃棄します。医療廃棄物なので家庭で捨てることができないため、動物病院へ持って行って捨てていただくようにしています。

 

さくらは脳に障害が起きたので、体をまっすぐ保つことができません。

左脚も麻痺しているようで、右ほど強く踏み込めません。

しかし、それでも、時々歩こうというそぶりを見せています。壁や、机や椅子の脚を支えに、なんとか立とうとしています。

生き物の、立ち上がりたいという意思に、心動かされ続ける毎日です。

写真のような、去年のさくらが蘇るという奇跡を、猫自身だけでなく飼い主も信じてみたいという気にさせてくれます。

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